「坂道になるとスピードダウンしてノロノロ運転になってしまう…」
このような経験がありませんか?
実際に「今にもエンジンが止まりそうになる、止まってしまった…」という事になれば焦りますよね(^_^;)
坂道が登りづらくなってしまう原因はエンジンによるものが多いです。
この記事では具体的にどのような原因があるのかお伝えします。
さらに、その原因に対してどうすればよいのか対処法についてもそれぞれ解説していきますね。
車が坂道を登らない5つの原因
車が坂道を登らない、もしくは登りづらくなってしまう原因としては主に次の5つがあります。
- エアコンをつけている
- 正確なギアを選択できていない
- ミッションの「すべり」が起きている
- エンジンパワーの不足、たくさんの人が乗っている
- イグニッションコイルやスパークプラグの不具合
エアコンをつけている
エアコンをつけていると坂道が登りづらくなってしまいます。
なぜなら、エアコンをつけることで車のパワーが落ちてしまうからです。
エアコンを付けるとコンプレッサーという冷風を出すための部品が作動します。
このコンプレッサーはエンジンの動力を利用して動くため、エンジンの力を奪い取ってしまうわけです。
通常、エンジンの動力は走ることに使われます。
しかしエアコンをつけてコンプレッサーを動かすことで、本来なら車を走らせるためのエネルギーを使ってしまうことになります。
走るエネルギーが少なくなってしまうため、坂道など登るためのパワーが必要なところで力不足となりスピードが落ちたり、登りにくくなってしまうワケです。
正確なギアを選択できていない
車にはギアと呼ばれる部品がが備わっています。
ギアを簡単に言うと、エンジンの動力を上手くタイヤに伝えるための部品となります。
車がどのような状態にあるのかを判断して、そのときに最適なギアを選択することでより快適な走行ができるわけです。
例えば、発車するときは車を動かすエネルギーが必要なので大きなギアを使用します。
逆に、スピードが上がっている時は動かすためのエネルギーが要らないため、小さいギアが最適になります。
このようなギアチェンジを自動でやってくれるのがAT車(オートマティック車)ですね。
逆に自分でギアを変換しながら走る車をMT(マニュアル車)と呼びます。
では、坂道の場合はどうでしょうか?
坂道は勾配があるため、力強く登っていくエネルギーが必要になります。
そのため、比較的おおきなギアで運転するのが効率的です。
しかし、坂道を登る際に適したギアに変換していないとエンジンの動力が上手く伝わらずに登れない・もしくは登りにくくなってしまうという事になります。
ミッションの「すべり」が起きている
ミッションとはエンジンからギアへ動力を伝える部品のことです。
ミッションは様々な部品が集まってできており、その中に「クラッチ」と呼ばれる部品があります。
このクラッチとギアをかみ合わせることで上手く動力が伝わり車が動くわけです。
ミッションの役目はこのかみ合わせを行うこと。
ところが、ミッション内の部品が劣化してきて、すり減ったり、中に入っているオイルが少なくなってくるとクラッチとギアが上手くかみ合わない現象が起きてしまいます。
この現象を「すべり」といいます。
「すべり」が起きることでギアは正しく選択しているのにエンジンの力が伝わらずにパワーが出ず、坂道になると登れないという状況になってしまいます。
エンジンのパワー不足、たくさんの人が乗っている
単純にエンジン全体が劣化してきて、パワーが出ずに登り切れないことも考えられます。
新車であればまず考えられませんが、古い車であれば排気量の多い普通自動車でも起こりえます。
また、乗車している人が多ければ多いほど、パワーが必要になるため登りづらくなります。
単純に大人2人が乗っただけで、少なくとも100㎏の負荷がかかるということになります。
エンジンのパワーが落ちている車で大人5人が乗車すれば、坂道は厳しい道のりになることは十分に考えられます。。
イグニッションコイルやスパークプラグの不具合
イグニッションコイルとは簡単にいう火花を発生させるための電気を供給する装置のことです。
ガソリン車の場合、空気とガソリンが混ざった混合気と呼ばれるものを燃焼させてエンジンを動かすための動力を作り出します。
燃焼させるためにはきっかけとなる火花が必要で、それを作り出すために高圧の電気を供給する装置がイグニッションコイルというわけです。
イグニッションコイルで高電圧に変換され、スパークプラグという部品から火花が供給されます。
よってイグニッションコイルやスパークプラグが劣化していたり、上手く動いてくれないと動力がエンジンに伝わらずに車のパワー不足という事態になってしまいます。
以上、この5つが坂道で登らない・登りにくい原因と考えられます。
坂道を登ると言うことは通常の運転よりもパワーを必要とします。
上記のような原因で車がパワーダウンしてしまっていると坂道を登る時にスピードが上がらないということになってしまうワケですね。
最悪の場合、エンジンが止まってしまうこともあります。
そのような事態にならない様にそれぞれの対処法を次からお伝えします。
車が坂道を登らない場合の対処法
原因が分かれば対処法も明確になります。
具体的な対処法は次の5つです。
- 坂道を登る時はエアコンを切る
- ギアを一段下げるもしくはキックダウンを行う
- エンジンオイルの交換
- エンジンの載せ替え、乗車人数を少なくする
- イグニッションコイルやスパークプラグの交換
坂道を登る時はエアコンを切る
最も簡単にできる対処法の1つがエアコンを切ることです。
夏場は当たり前にエアコンを付けて運転すると思いますが、
「坂道を登りづらい、パワーがでない」と感じるのであれば、まずはエアコンを切りましょう。
それだけで、コンプレッサーが作動しなくなるので、その分の動力がエンジンに伝わり車のパワーもアップします。
少なくとも、エアコンをつけている時よりもエンジンのパワーが上がるため、試してみる価値はあります。
少しの間、暑いかもしれませんが、ノロノロと運転すると後続車にも迷惑ですし、危険な場合もあるのでここはエンジンのパワーアップに協力しましょう。
ギアを一段下げるもしくはキックダウンを行う
坂道は普通の道路よりも登るエネルギーが必要なため、大きなギアに変換したほうが動力が伝わり、パワーも出やすいです。
つまり、ギアを1段下げることがポイントになります。
具体的には以下のような方法でギアを下げることができます。
オートマ車の場合
- 「D」シフトで深くアクセルを踏む
- ギアを「D」から「L」もしくは「2(セカンド)」に入れる
「D」シフトで深くアクセルを踏む
坂道で深くアクセルを踏むと、回転数が上がり自動的にギアを下げる作用が働きます。
これをキックダウンと呼びます。
至ってシンプルな方法で、坂道でスピードが落ちてきたらゆっくり深くアクセルを踏むだけなので簡単ですよね。
オートマの場合、これだけで1段ギアが下がるのでとってもラクです(^^)
ただし、アクセルの下にシートなど重ねて敷いていると深く踏み込めない場合があるので注意してください。
ギアを「D」から「L」もしくは「S」に入れる
要するにキックダウンを手動で行うというイメージですね。
登り坂にさしかかったら、シフトレバーを「D(ドライブ)」から「L(ロー)」もしくは「S(セカンド)」に動かし、一段ギアを下げることでより馬力のある状態で走行できます。
ただ、どうしてもギアを下げることでスピードは落ちてしまいますので、急な減速にならないように十分に加速してからギアチェンジすることをおすすめします。
基本的にはキックダウンを上手く使えば今のオートマ車であれば、乗り切れると思います。
急にアクセルを踏むのではなく、勾配がきつくなってスピードが落ちてきたと感じたら、ゆっくり深くアクセルを踏み込むことがポイントです。
エンジンオイルの交換
ミッションの「すべり」が起きている状態であれば、オイルを交換もしくは補充することが有効です。
オイルを補充することで単純にエンジンのミッション部分を円滑に動かすことができるようになるため、クラッチとギアのかみ合わせも良くなると考えられます。
また、たまに個人でエンジンオイルの交換するときにCVT専用のオイルをATミッションの車に使用してしまうと「すべり」が起きてしまいます。
CVTとは無段変速機のこと。
例えば、スクーターは無段変速機の車両になります。
スクーターはアクセルを回すだけでギアチェンジをせずともスピードが上がる仕組みになっており、それ専用のミッションが使用さえています。
オイルも専用の物があり、それをAT車などに誤って使ってしまうと「すべり」が起きてしまうわけです。
「すべり」に関してはオイルを交換することで解決することが多いですね。
もしそれでもダメな場合はミッションを1度分解して点検する必要があるのでプロの整備士に修理を依頼することになります。
エンジンの載せ替え、乗車人数を少なくする
エンジン自体の老朽化によって車のパワーが出ないのであれば、エンジンの載せ替えも検討してみる必要があります。
エンジンはたくさんの部品から成り立っているため、一つ一つ分解するよりも、入れ替えてしまった方がコストがかからず、すぐに対応できます。
ただし、エンジンは高価な部品となるので、入れ替えるだけで15万円以上はかかります(^_^;)
そのため、入れ替えるくらいなら車自体を買い替えることを検討する人も多いですね。
また、坂道を登っているときに乗車人数をできるだけ少なくすることで、車への負担を軽減することもできます。
単純に軽い方が登りやすいというのはイメージしやすいですよね。
ただ、これは状況によってできる場合とそうでない場合があるので、可能であれば人数を少なくして、別の車に乗ってもらうなど状況に応じて判断しましょう。
イグニッションコイルやスパークプラグの交換
イグニッションコイルやスパークプラグの不具合は交換してもらうことで解決します。
不具合は実際に調べてもらわないと分からないので、異常を感じたらディーラーなどで見てもらいましょう。
実際に私が経験したのはこのイグニッションコイルの不具合でした。
坂道が登りにくくなったのを感じていましたし、アイドリング状態になってからもなんだかいつものエンジン音ではない気がしていたのです。
ちなみにそのときの車がコチラ↓
日産のノートです。かれこれ10年ほど乗っています。
整備士さんに見てもらうと、エンジン音を聞いてすぐに
「あ~これは多分、イグニッションコイルかスパークプラグがおかしいと思います。うまく燃焼できていないとこのような音がするんですよ。」
そう言われました。
詳しく調べてもらうと4本のコイルの内、1本がダメになっており、エンジンに悪影響が出ていると分かりました。
他のコイルも古くなっているので、スパークプラグと一緒に交換した方が良いとのこと。
実際に交換してもらい、費用は4本交換+技術料で62,736円となりました。
部品代 | 金額 |
イグニッションコイル(4本) | 38,576円 |
スパークプラグ(4本) | 11,232円 |
チャンバーガスケット | 389円 |
ガスケットアダプター | 659円 |
マニホールドガスケット | 2549 |
技術料 | 金額 |
イグニッションコイル 交換工賃 | 9,331円 |
合計(消費税込み) | 62,736円 |
結構なお値段がしますので、イグニッションコイルやスパークプラグの不具合の場合、修理費用は覚悟しておいたほうがよいかもしれません(;^ω^)
これでエンジンの不調はなくなり、坂道も普段通りに登れるようになりました。
さすがプロの整備士といったところですね。
異常を感じたらすぐに見てもらうことをおすすめします。
【まとめ】エンジンの不具合は素人には難しいのでプロに修理依頼するべき
- 車が坂を登らない原因は主に5つ
- エアコンをつけている
- 正確なギアを選択できていない
- ミッションの「すべり」が起きている
- エンジン自体のパワーが落ちている
- イグニッションコイルの不具合など
- それぞれの原因について対処法がある
この記事では5つの原因とそれに関する対処法についてお伝えしてきました。
エンジンを切ったり、ギアを一段下げたりすることはすぐにできる方法ですが、オイル交換やイグニッションコイル、エンジンの交換が必要になった場合、あまり車に詳しくない方にとっては正直難しいかと思います。
なので、異常を感じたらまずはディーラーなどプロの整備士に見てもらう事をおすすめします。
オイル交換などであれば5,000円もあればすぐにやってくれますし、私のようにイグニッションコイルの交換でも数万円で済みます。
大切な事は坂道を登りにくくなったと感じているのにそのままにしておいて、結果的にエンジン交換をしなければいけないほど酷い状態になることをさけること。
本来なら数千円や数万ですむところを、エンジン交換になって15万円以上支払うことになったら、もったいないですよね。
そうならない為にも、何かおかしいと感じたらすぐに見てもらうようにしましょう。
この記事が参考になれば幸いです。